「イエス・キリストの系図」森史子牧師
マタイによる福音書1章1-6節、16-17節 / ローマの信徒への手紙6章23節 2026年9月13日
新約聖書は「イエス・キリストの系図」から始まります。初めて聖書を開いた人の多くが、聞きなれない名前の羅列に戸惑い、読むのを止めてしまうか、飛ばして読み始めるようです。何故、新約聖書は系図から始まるのでしょう。著者のマタイは、この系図をユダヤ人やユダヤ社会で生きる人に向けて書いています。彼らは旧約聖書の知識があり、系図の人物の名前は馴染みがあり理解しやすいからです。マタイは系図を通して、イエス・キリストが一体誰なのかを知らせています。
書き出しは「アブラハムの子ダビデの子、イエス・キリストの系図」で子とは子孫です。
神は アダムから20代目のアブラハムとその子孫によって、すべての民族を祝福すると約束されました。マタイはその子孫こそイエス・キリストであると、系図を通して明らかにしたのです。
また神は、アブラハムから14代目(1000年後)、ユダヤ人の歴史上最大の王であるダビデを祝福し、子孫からメシアが誕生しイスラエルと世界を支配する王となると約束された。国を失った ユダヤ人は、ダビデの子孫からメシアが現れるのを待ち望む様になり「メシア信仰」が生まれた。マタイは、ダビデから14代目(1000年後)に誕生したイエスこそがダビデの子孫から出るメシアだと伝えています。イエス・キリストは、この後に続く福音書の中心人物ですから。
また、系図の中に4人の女性の名(タマル・ラハブ・ルツ・ウリヤの妻)記されています。マタイは男性優位の社会の中で、なぜこの女性を選んで系図に入れたのか?それは彼女達の人生から、マタイの深い思いを教えられます。今朝はタマルを通して神様の思いを分かち合い、残る3人の女性は次回お話します。
「ユダはタマルによってペレツとゼラを」タマルはユダの長男の嫁でしたが、長男は死に後継ぎを残すため次男の妻になるが、次男も死に、ユダはタマルを残る三男の嫁にすると偽った(詳細は創世記38章)。女性の存在価値は子孫を残す事だとされていた時代です。追い詰められたタマルは、売春婦の格好をしてユダと関係し子を産み子孫を残しました。
ユダは義父であり、タマルは裁かれても仕方ないほど、不道徳な行いをしたのです。
しかし、神はタマルを裁きませんでした。タマルを赦して子どもを与えて下さり、ペレツをイエス・キリストの祖先の中に入れて下さったのです。それはどんなに罪深い人でも、許されることを示すためでした。 その神様が、今も私たちと共にいて下さり、信仰に歩ませて下さっています。マタイが系図の中に、異邦人であり罪深い4人の女性の名を記録してくれた事は、女性支援の現場の中で、伝道の力になっています。感謝します。